paulspage2018.jpg

No.3 調和のとれたリギングシステム

pp_3_1.png

僕は「調和のとれたリギングシステムとは?」という課題を考えています。
イギリスではリギングの道具については教えてくれましたが、樹木/クライマー/ 道具/作業方法といった要素のコーディネーションは教えてくれませんでした。しかし何とも興味をそそられる課題ではないでしょうか。
この4つの要素につい て考えてみたいと思います。

1. 樹木  2. クライマー  3. 道具  4. 作業方法

これらの要素はお互いに影響しあっています。

必ずしも優先順位が1から4までこの順番に従うとは限りません。

作業計画を立てるときは常に樹木のことから出発します。
まず樹木の健康状態を調べそれに基いて作業計画を作って行きます。
樹木の構造、健康状態、強度と材質とともに、回りの地面に何があるかということも剪定やリギングの方法を決定する要素になります。

作業計画が決まったらその作業をこな す技能のあるクライマーを選びます。

道具の選択と作業方法はいくつものポ イントを考慮した上で決めていきます。
先に決めた作業計画を再度チェックして最適なリギング方法を選びます。
動荷重をかけるか静荷重をかけるか両方かける か?ロープは早く送るか遅く送るか?ロープ/スリング/ロアーリングデバイスの幅広い選択肢があるおかげで状況に即した道具選びが出来、安全で効率的な作 業を組み立てられるようになりました。

複数の道具を組み合わせてリギングシ ステムを構築する時にはルールがあります。

 

例えば、 ロープはシステムの中で一番強度の弱いものであること。
作業中に万一システムの一部が破壊されてしまった場合、壊れた鉄片で首をちょん切られるよりは切れた ロープに当って腕が折れた方がましではないでしょうか。

プーリーやロアーリングデバイスを使 う時、ロープの最適な曲率を考慮します。
メーカー推奨の曲率を調べて自分の使うリギングシステムに当てはめてください。
14mmロープはミドルサイズのポー タラップを使ってミドルスピードで吊り下げるのには適していますが、速いスピードで吊り下げねばならない時にはロープ表面を溶かしてしまいます。
この場合 はGRSCの大きなアルミ製の筒かTreeworkerのフリクションチューブが適しています。

ほとんどのアーボリストが10:1の 安全率を取って作業をしていますが、それならまずロープが切れることはありません。
破断強度4tのロープには最大400kgの荷重をかけるように考慮するわけです。
動的な吊り下げがリギングでは普通に行われていますが、その場合にかかり得る荷重とそれがシステムにかける負担をしっかり考えなければなりません。道具の管理と手入れはリギングでは非常に大切な要素です。
日本においてリギング講習会が成長してきたことは喜ばしいことです。リギングについて学び訓練することを通じてクライマーがリギングシス テムにおいて最重要な要素になるのです。熟練した技能が安全で効率的で経営的に成り立つ仕事を作るのです。