No.15 靴のはなし



チェーンソーブーツ以外の靴を作業で使うのはイギリスでツリーワークをしてきた僕にとってはほとんどタブーなのですが、それにもかかわらず剪定のような作業には他の靴をはいています。
実はイギリスで働いていた時も動きにくく木肌を知らないうちに痛めてしまうような重いチェーンソーブーツをためらっていました。
木をもっと守ることはできないかと。
イギリスの厚生労働省は、作業者にしっかり安全教育を施すことではなく、分厚いチェーンソーブーツ着用を義務づけることで事故を減らそうとしています。ワークポジショニングをしっかりマスターしていくことが安全な作業の条件だと思っていますし日本の長い地下足袋文化も考えるとチェーンソーブーツ使用の義務づけには無理があると思います。
僕はファナーのチロルファイターというチェーンソーブーツを持っています。
スパイクで登って最終的に木を切り倒すような時やグランドワークをする時に履いています。
足の使い方にさほど神経を使わなくていい時は、つま先に入った鉄で自分の足を保護してくれるチェーンソーブーツを履く訳です。
だからといってチェーンソーの使い方がしっかりしていなければ自分の足は守りきれません。
あくまでも万が一の防具なのです。


僕が今よく使っている靴を紹介します。
スポルティバの『ボルダーX』。
ハイキングブーツとして色々な状況に耐えられるようデザインされたこの靴は、片足508gという軽さ、ソールの柔らかさとヘリの硬さ、ラバーランド(ゴムのヘリ)、細い爪先といった特徴がツリークライミングに非常に適しています。
足首部分はくるぶしをしっかりサポートしながらも樹上での微妙な動きを邪魔しない柔軟性を持っています。
内側にゴアテックスが入っているので突然の雨でも足を濡らしません。冬の雪上作業でもスパッツの併用で足を快適に保ちます。
靴ひもの編み方もちょっと変っています。
最後に足首を一周してから縛るようになっているため『ブーツ』というより足首をしっかりサポートする『シューズ』といった感じです。
ソールは、これを履けばフットロックのチャンピオンになれるんじゃないかと思えるほどグリップ感がよくできています。
細い爪先は狭い枝又に足を挟みやすく、リムウォークにおいても小さな足がかりをつかめます。
それにもかかわらずロッククライミングシューズのように爪先がつぶされるよな感じがありません。
元々春や夏のハイキング用に作られているため一日みっちり登る作業も快適にこなせます。