No.35 世界のSRTテクニック(3)
2018年、Wooden Hand は日本、ドイツ、ニュージーランド、イギリス、アメリカのクライマー達10人のSRTを紹介した小冊子を出版しました。これから毎月彼らを一人ずつこのページで紹介していこうと思います。
‘Equalizer’ ローレンス シュルツ(USA)
ローレンス シュルツは、彼の有名なYouTubeチャンネルから 'ファナーマン'として知られています。最初アメリカ東海岸で活躍し今はカリフォルニア在住のクライミング/リギングの先駆者です。彼は樹上の動きとリギングの可能性を広める素晴らしいテクニックを作り出しました。'Equalizer' (イコライザー=平衡装置)と'Tranferlizer' (トランファライザー=乗換装置)という2つの技は大きく枝を広げた木で作業する上でも2本並んだ松で作業する上でも役に立つテクニックです。加えて2つのビレイポイントの組み合わせ方を学ぶことで、クライマーとしての技量を伸ばしてくれるでしょう。
『僕がオリジナルとして確立できたものは、遠隔セッティング、遠隔調整、遠隔回収可能なリダイレクトです。』
『その様子を説明しましょう。クライマーは枝の上をだいぶ移動し、そろそろリダイレクトしないとアンカーから離れて体が支えられなくなってきました。そこで 'イコライザー' の登場。2本目のロープを頭上の枝に投げ、下りて来たワーキングエンドを手に取りそれをカラビナでメインロープに連結します。メインロープ (システム1) をたるませると同時に今掛けた補助ロープ (システム2) を引っ張ってカラビナを適当な場所まで引き上げれば、可動式で調節可能な体重分散してくれるリダイレクトができます。それはクライマーの体を確保しなおかつ手元でコントロールできるものです。』
『これをイコライザーと呼ぶ訳は、補助ロープを第2アンカーに固定してしまうよりずっと2つのアンカーに均等な荷重分散をしてくれるからです。』
『カラビナの位置を安定させるのに、下降する時は2つのロープを均等に繰り出す必要があります。』
『システム2に掛かった荷重を抜いて軽く振ってやればカラビナが手元に下りてきて回収できます。カラビナにスローウェイトを付けて置けば下ろしやすくなります。』
『もう一つのオプションは 'トランファライザー' 、リダイレクトとメインアンカーの接続をもっとしっかり固定して、より簡単で確実なコントロールを可能にしたものです』