No.61 2026 スプリング ギア レビュー 2026.05.21
リギング
リギングシステムの設計やセットアップには実に多くの方法があります。高品質なブロックやプーリー、スプライス可能なダブルブレイドやホローブレイドのスリング、スチールカラビナ、アルミやスチールリング、FTCの「Donut」のようなユニークな製品、さらに多種多様なロアリング・ウインチングツールまで、本当に無限に存在します。
興味本位で揃えると、いくらお金があっても足りなくなってしまいます。
個人的に、ボクはかなり保守的な考え方に落ち着きました。
どのようなシステムを組むべきかを理解して、それに適したツールを選択しています。
5年に1度しか使わないような道具もありますが、基本的な装備は以下のようなものです。
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エレファントウインチ ×3
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エンジンウインチ ×1
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8mm〜14mmのClass2ロープ(100〜200m)
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ISC & DMMのブロック
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Omniブロック
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ホローブレイドスリング
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厚手のウェビングスリング(薄いものは使わない)
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各種スチールカラビナ
そして何より「システムを設計し、それをチームに正確に説明できる能力」が重要です。
チームの中で理解できていないメンバーが一人でもいれば、システムが働かない可能性が大いにあります。
「なぜそれをそこに設置するのか」
「どれほどの荷重に耐えられるのか」
「その場所に適した装備は何か」
こうした知識は極めて重要です。
垂直から35度で伸びた長さ10mの枝に発生する荷重を計算できますか?
5m振り子のように揺れながら回転する木塊の振動荷重を予測できますか?
異なる速度で下降させた際、ポータラップでどれほどの熱が発生するか分かりますか?
リギングとは、目に見えない力と潜在的危険が織りなす複雑な交響曲です。本当に“静かな殺し屋”とも言えます。
次に新しいギアを買おうと考えた時は、教育や学習ツールへの投資も検討してみてください。
力学やシステム設計を理解するためのアプリ、安全について知的議論を行うためのプラットフォーム、チェーンソー目立てからハイラインシステムまで幅広いワークショップがあります。
知識は時代に左右されません。
そして間違いなく、最も費用対効果の高い投資先です。
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Canopy Culture (英語): https://canopyculture.circle.so/c/canopy-matters
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ODSK 講習会: https://works.odsk.co.jp/event/
クライミング
イェール ブルー32
イェール製の32ストランドカバー・ダブルブレイドクライミングロープ。
11.5mmと11.7mmの両方ともカラーが素晴らしいです。11.5mmの方が柔らかい手触り。どちらもスプライス可能ですが、簡単ではありません。
本当に優秀なロープで、特に11.5mm版はどんなクライミングツールでも非常にスムーズに動作します。ランヤードとしても優秀です。
BLUE 32 11.5mm: https://www.works-odsk.jp/item/YLXBL32115/
BLUE 32 11.7mm: https://www.works-odsk.jp/item/YLXBL32117/

ツリーオーストリア Pro
以前からこのハーネスについては何度も話してきましたが、DMM KINISIの重さとかさばりに疲れて再び使うようになりました。
ツリーオーストリア Pro(T.A.P.)は、軽量素材と快適性の完璧なバランスを持っています。ツールラックのオプションも優秀で、前も後ろもスッキリしたデザインです。
次のハーネス選びに迷っているなら、ボクだけでなく、Yamaちゃん、マコト、トヨヨ、ササポン等、多くの人がお勧めしています。
AUDAXとの相性も良く、専用サスペンダーシステムもあります。
またマコトがロープロケット収納用の素晴らしいセットアップを見せてくれたので、そのアイデアを共有します。
ロープロケットは素早く展開でき、かつコンパクトに収納できる必要があります。私は数十種類の方法を試しましたが、マコトのマグネットを使ったアイデアが非常に気に入っています。
最初はマグネット1個でしたが、現在は2個使用して ロープロケットの構成部品を分離しています。これにより、ハーネスの着脱がかなり楽になります。
私はODSKフットループを常にブーツへ装着しているので、それに接続する小型カラビナをハーネス中央後部へクリップしています。直感的で、未使用時にも邪魔になりません。
ロープロケットはフットアッセンダーと併用しますが、左右逆に装着することを強くおすすめします。右足用を左足へ、またはその逆です。ロープと足の角度が変わり、とてもスムーズで直感的な使用感になります。
新しいPetzlのラチェット式パンタンも良さそうで、早く試してみたいです。
以前はハーネスのカスタマイズにかなり夢中で、先月また少し調整しました。不要な部品を取り外し、アタッチメントポイントやツールラックポイントを変え、ランヤードの長さも変えました。
結果として非常に軽量かつ洗練され、使っていて本当に楽しいです。
ツリーオーストリア Proを購入し、このような細かなカスタマイズを学ぶことを強くおすすめします。

ファナー BT Com
現場のコミュニケーションが急に難しくなることがあります。
天候、樹高、作業者間の障害物、車両騒音など、原因は様々です。
ツリーワークではハンドシグナルや大声でも多くのことが可能ですが、ファナー BTComのようなスマートでコンパクトな通信システムがあると、安全性は何倍にも向上します。
5人で通信できれば、チーム全体の状況や位置を簡単い把握することができます。
小さな声量で会話できるため、「聞き取れない」ことによる精神的疲労が減り、誤解によるストレスも最小限になります。
お気に入りのファナー Protosとカラーコーディネート可能で、専用アダプターで簡単に充電できます。
「動くべき時」と「待つべき時」を把握することは、ツリーワーク最大の事故原因である“Struck-by(飛来・落下物衝突事故)”を減らす鍵です。
BTComセットでチームをより安全にしましょう。

丸源鋸 https://www.nokogiri.co.jp
窓刃(Window tooth)デザインはリギング向き、細かい刃は剪定向きです。どのような作業を行うかによって、適切なのこぎりは変わります。
まさか一本で全て済ませていませんよね?
私はシルキーの大きな刃のデザインが苦手です。何に対しても中途半端だと思います。なぜSilkyが特にアメリカやイギリスであれほどブランド力を持っているのか不思議です。
海外では手鋸を作らないのでしょうか。まあ知っているべきなのでしょうが、日本に長く住みすぎてあまり気にならなくなりました。
日本の手鋸は最高ですが、ブランドごとの違いも理解する必要があります。
丸源鋸工場は長野県須坂市にあり、私の友人の多くが使っています。私も数年前から製品を試してきました。
旧モデルは剪定には素晴らしかったものの、リギングには少し攻撃性が足りないと感じていました。
昨年、蔓植物の多い木に便利な長い木製ハンドル付き折込鋸を買いに訪れた際、偶然社長が店にいて、新しいリギング用刃について説明してくれました。
彼は紙にスケッチしながら、低振動で大量の材料を切削するために必要な特性を熱心に語ってくれました。
「大量の切削をしながら、振動を抑える必要がある」
彼は自転車の例えを使いました。
砂利道を走る自転車は、タイヤ圧が高すぎると上下動が大きくなり前進効率が悪くなる。太いタイヤで空気圧を低くすれば衝撃を吸収し、効率よく進める。
Window toothデザインは大量切削できる一方、高振動で効率が落ちると言います。
もっと日本語が上手ければ…と思いましたが、彼の情熱は十分伝わり、発売を心待ちにしました。
10ヶ月後、「完成した」と電話がありました。リギング専用設計の鋸。本当にそんなものが可能なのか、と。
刃長は33cmで、普段より少し長め。しかし、滑らかさと切削効率のバランスにはこの長さが必要だと分かりました。
ストロークが完璧に噛み合うのです。
丸源社長の情熱と設計センスには本当に敬意を感じました。素晴らしいです。
型番は「#103」です。


ウェアラブル端末による健康管理の勧め
ツリーワークは身体、そして神経系に大きな負荷を与えます。
長時間労働、重負荷、不自然な姿勢、高リスク環境、不規則な睡眠。
多くのアーボリストはギア、ノット、切断技術を細かく管理しますが、それら全ての基盤である「自分自身の生理状態」を追跡している人はほとんどいません。
ウェアラブルセンサー(時計、リング、胸部ストラップなど)は、そんな状況を変えてくれるでしょう。
何が実際に重要なのか
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睡眠の質(単なる時間ではない)
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心拍変動(HRV)
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安静時心拍数
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日々の負荷・歪み
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回復スコア
これらは、身体がストレスにどれだけ適応できているかを示します。ただ耐えているだけではありません。
自律神経系:身体の内部制御システム
これらのデータの中心にあるのが自律神経系です。
心拍、呼吸、ストレス反応、回復など、意識せず制御している全てを司っています。
主に2系統あります。
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交感神経(闘争・逃走反応)
→ 行動、ストレス、出力 -
副交感神経(休息・回復)
→ 修復、回復、再生
パフォーマンスと安全性は、この2つを効率よく切り替えられるかに依存します。
常に“オン”であることではなく、適切に“戻って回復できる”ことが重要なのです。
ウェアラブルは、その機能状態を可視化してくれます。
HRV:個人差が大きい指標
HRVは、自律神経がストレスをどうバランスを取って回復させているかを示す数値ですが、非常に個人差があります。
万人共通の「良い数値」は存在しません。
ある人にとって低いHRVでも、別の人には正常かもしれません。
重要なのは、自分自身の基準値と長期的な傾向です。
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自分基準で安定・上昇 → 負荷へ適応できている
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継続的低下 → 疲労やストレス蓄積
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急激な低下 → 早期警告サイン
システムに負荷がかかると、
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反応速度低下
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協調性やグリップ信頼性低下
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高所での判断力低下
などが起こり得ます。
睡眠:システムがリセットされる場所
睡眠中、副交感神経系が回復作業を行います。
睡眠が不十分だと回復は不完全になります。
睡眠不足は、
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運動制御
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リスク判断
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感情安定性
へ影響します。
ウェアラブルは、
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アルコールが深睡眠へ与える影響
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遅い食事による回復阻害
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不規則スケジュールによる慢性的ストレス状態
などのパターン把握に役立ちます。
リスク管理と同じように負荷管理を
あなたはすでにアンカーポイント、樹木状態、天候を評価しています。
身体もその評価対象に含めるべきです。
ウェアラブルによって、
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回復状態に応じた作業調整
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累積疲労の早期発見
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コンディション不良時の無理な作業回避
が可能になります。
現場での実践例
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朝に回復状態を確認(HRV + 安静時心拍)
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睡眠の質を確認
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当日の期待値を調整
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回復良好 → テクニカルクライミング、ヘビーリギング
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回復不良 → 低速作業、単純作業、慎重度向上
長期的視点
アーボリカルチャーは非常に過酷なので、多くの熟練者が怪我や肉体の消耗によって早い時期に一線から退いてしまいます。
自律神経系を理解し、ウェアラブルで管理することは、
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鋭い判断力維持
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効果的回復
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職業寿命延長
につながります。
あなたはすでにロープ、刃物、PPEへ投資しています。
自分自身のシステムを追跡することも、それと同じくらい重要ではないでしょうか。
